藤吉です。
キャリア・アンカーという考え方について書いてみました。
アンカーは船の錨を現わしていて、「キャリア(仕事上)の価値観の根底にあって動かない物」つまり、仕事をする上でどうしてもそこが気になって自分の意識が戻っていってしまう価値観を示しています。
自分の価値観に合った仕事をしている時、人が何と言おうと自分の中では大きな満足感が得られているというわけです。
マサチューセッツ工科大学の組織心理学者エドガー・シャイン博士という方が提唱した考え方で、8つのタイプに分類されて説明されています。
1 全般管理能力
2 専門・職能別能力
3 保障・安定
4 起業家的創造性
5 自律と独立
6 奉仕・社会貢献
7 チャレンジ
8 ワークライフバランス
一つずつ簡単に説明しておきますね。
1全般管理能力は
経営・組織の中で求められる全般的な管理能力の獲得を重視するタイプで、スキルアップのための努力を嫌がりません。
2専門・職能別能力は
専門性や技術力が高まることに意義と幸せを見い出すタイプで、現場で活躍し続けることを好みます。
3保障・安定は
社会的・経済的な安定を求めるタイプで、リスクを回避し将来が見通せる環境で堅実に働きたいタイプです。
4起業家的創造性は
自分自身が新しいものを生み出す事が好きな起業家や芸術家、発明家タイプです。刺激的な仕事が好きなので、困難な課題や変化の激しい状況に立ち向かうことに、モチベーションを見いだす傾向があります。
5自律と独立は
自分のスタイルで仕事を進めることを重視するタイプで、組織のルールや規則に縛られることを嫌います。自分が納得できる方法でマイペースに仕事に取り組みます。
6奉仕・社会貢献は
仕事を通じて世の中を良くしていくことや人の役に立つことに喜びを感じるので、誰かを支援する仕事で能力を発揮します。
7純粋なチャレンジは
困難に挑戦することや新たなチャレンジから受ける刺激に喜びを感じるタイプです。ルーチンワークをしていると物足りなさを感じるでしょう。
8ワークライフバランスは
仕事とプライベートを両立させられることを重視するタイプです。
説明だけ読むと、似たようなものもあるし、自分がどれにあてはまるのか良くわからない方も多いと思います。
ネットでもキャリア・アンカー診断ができるサイトがいくつかあります。
そのうちの一つを紹介しておきますね。キャリア・アンカー診断 (chikaku-navi.com)
ひとつ気を付けていただきたいことがあるのですが、このキャリア・アンカーはどの仕事を選択するかというより、どのように仕事をすると自分のモチベーションが上がるかということに利用していただきたいのです。
キャリア・アンカーは組織の中で働く人々についての考察から生まれたものですから、その仕事のどの部分に注目しどのような働き方をすれば、その方が満足出来て更にモチベーションが上がるのかということを示しています。
例えば、「奉仕・社会貢献」にアンカーがある方が工場の流れ作業をしているとしたら、その製品をどのような方が使っていて、その方たちの生活が向上するとか、社会が便利になるんだと言うところをいつも意識していることによって、全く働きがいが違ってくるでしょう。
また、「純粋なチャレンジ」にアンカーがある方が工場の流れ作業をしているとしたら、自分なりの目標を設定してタイムチャレンジをしてみるとか、日々もっと効率的な方法はないだろうかと模索することで、ルーチンワークでも続けられると思います。
こんな風に、どのような仕事であっても自分なりの仕事の仕方の工夫で満足度は向上できるわけです。
もちろん、上司や会社の経営側が働く人のタイプを良くわかって工夫してくれればもっとうまくいくようになります。
これは、ジョブ・クラフティングと言う考え方で、従業員一人ひとりが仕事の捉え方や仕事のやり方を修正することで、やらされ感のある仕事を働きがいのあるものに変容させるというものです。会社の生産性を上げて定着率を高める方法としても注目されています。
ですので、自分のキャリア・アンカーを知ったならば、今仕事をされている方は今の仕事で、これから仕事を探そうとしている方は求人票を見た時に、自分がその仕事のどんなところに注目して働き方を工夫すればやる気が起こるのか、もっと向上するのかを考えていただきたいのです。
特に今仕事を探している方は、ここを考えて文章にすれば履歴書やエントリーシートの志望動機が書けることになります。
ところで、キャリア・アンカーは変わるという意見もあります。
年齢を重ね、経験が増えたり生活の状況が変わったりすることによって価値観が変わってくるのは当然のことのような気もします。
しかし、私はおそらく個人の根底にある【アンカー】は変わらないのではないかと思っています。
「何に注目して」「どのように働くか」という面では、人によって、それぞれのタイプの占める割合が違いますし、経験や状況によってその割合が変わってくることはあると思うのです。
けれども、人生を通して自分のエネルギーを注ぎ続けたいと思ってしまうものは、人それぞれ、ただ一つあって変わらないのではないだろうかという気がしています。
少々の苦労があっても、どうしてもそこから離れられず、忘れたつもりになっていてもそこに引き戻されてしまうような、そんなものです。それはシャイン博士の提唱する8つのタイプにぴったり当てはまらない【アンカー】かもしれませんけれど。
それが何なのかは、結構な年齢にならないとはっきりしないということが多いのだろうと思います。
人によっては若い頃から「びかっ」と天啓のようにわかってしまっているタイプの方もいるけれど、多くの場合、いろんな経験を経て「これは違う」とか「これをして今とてもうれしい!」そんな感覚を積み重ね、その感覚に正直でいることで見つかってくる物だと思っています。
もちろん、先ほどのキャリア・アンカー診断などの診断ツールも役には立つのですが、どうしても、あらかじめ決められた質問に答える形式のものは、「答え」がその時の状況や経験の量に左右されがちですので、時間がたってもう一度診断すると結果が違うということも起こってくるのではないかと思います。
ですから、若いうちは沢山のチャレンジをして経験を増やしていくことが、結果的に本当の「生きている実感を得る仕事」に行き着く早道なのだと思います。
今は、一度就職したらずっと働き続けなければならないという価値観は薄れて、転職することにも寛容な社会になってきました。ですので、もし今仕事を探している方がこれを読んでいらっしゃるなら、怖がらずにこれまで経験したことのない仕事でも、興味があるならチャレンジしてみても良いのではないかと思います。
また、副業OKの企業も増えサイドビジネスの種類も増えています。仕事をしながらでもチャレンジをしやすい環境になってきているので、働きながら少しずつ人生を充実させる方法を模索してみるのも良いのではないかと思います。
ところで、【興味】があるならと書きました。
そうなのです。求人票やアルバイトの求人を見ている時、なぜか惹かれる仕事があったとしたら、その中でも「今までの経験があるから」とか「これくらいなら私でも…」とかの理由ではなく、「ちょっと無理かもと思うのに、気になるのよね」というような仕事があったとしたら、挑戦してみていただきたいのです。
もし、資格要件で応募が無理だったとしたら、その資格取得に挑戦してみていただきたいと思います。
そういう、ちょっとした【興味】が【アンカー】からのささやきである可能性が高いからです。
ちなみに実は私、先ほどのキャリア・アンカー診断 (chikaku-navi.com)やってみると、昨日と今日で判定が変わりましたwww。
実はもともと4つのタイプが拮抗していまして、私の中ではその4つがどれも譲れない気がしています。その中でも特に「専門・職能別能力」と「奉仕・社会貢献」が同じくらい高くて、この二つが時々入れ替わるのです。
考えてみると、今はこの2つタイプのどちらかの仕事をする時も、他の3つの方法で行っているので今の私はとても満足感を持って仕事をする事が出来ています。
もちろん、今の仕事をする上で、私のタイプではないことをする必要もでてきています。その時には先程のジョブ・クラフティングを行っているわけです。
そして、私のキャリア・アンカー診断で極端に低いタイプが3つあります。
その中の1つが、実は「純粋なチャレンジ」。
私、この文章の中で「チャレンジ」と言う言葉を何度か使いましたが、基本的に「チャレンジ」はめっちゃ怖いのであまりしたくありません。「えっ?無謀にも法人なんか立ち上げたくせに!」と思う方も多いと思いますが、私の中で「チャレンジ」はいつも少しずつで、自分の出来る範囲で行ってきたつもりなのです(思慮不足で思いがけないことになることが多いのですが)。
それでも、チャレンジが私の人生を開いてきたことを実感しているので、「チャレンジ」をお勧めしています。
それぞれの方の、自分の出来る範囲で試してみてはいかがでしょうか?
by 篠扶
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