キャプテン・サー・トーマスのお話をご存知ですか?
ご存知の方は、知ってる知ってる!!!!となり、御存知じゃない方は、きっと「まったく聞いたことがない」となるでしょうね。
実際、去年の春先までは全く無名の、どこにでもいるイギリスの普通のおじいちゃんだった方です。しいて言えば、ご近所さんから、とても長生きですね、とか、元軍人さんだったらしいですね、程度だったろうと思います。
先日、そのキャプテン・サー・トーマスが亡くなった、というニュースが世界中を駆け巡りました。
彼をご存知のかたはとても残念がり、ご存知じゃなかったかたは、誰?それ???なんで世界中のニュースに???となったと思います。
今日は、彼のお話をしようと思います。
先ほども言ったように、去年の春まではごく普通の一般のご長寿おじーちゃんでした。
でも、いまや、彼への弔意をエリザベス女王が示し、ボリス・ジョンソン首相が呼びかけ、昨日の夕方6時に、全英中で一斉にキャプテン・トーマスへの感謝の拍手を送った、と言う出来事もありました。
バッキンガム宮殿は、彼への弔意を示すために半旗を掲げました。
ガーディアン紙によると、国葬にすべきだ、銅像を建てよう、ウエストミンスター寺院の石に彼の名を刻むべきだ、という声もたくさん上がっているそうです。
なぜここ数ヶ月で彼はここまで愛され、彼の死を悲しむ人がこんなにもいるようになったのでしょうか。
きっかけは去年の4月、彼はその時、2年前に折ってしまった腰の骨の治療と、皮膚がんの治療を受けていました。
そのコロナ禍でのNHS(National Health Service 国民保健サービス)のスタッフの献身的働きぶりに感銘を受け、彼らに何かを返したいという思いから、ささやかな寄付を集めようと思い立ちました。
その時すでに99歳、4月の末に100歳のお誕生日を迎える、と言うタイミング。
彼が始めたのは
100歳のお誕生日までに、自宅の庭で25メートル計100回、歩行器で歩くことを誓います、というものでした。
その名も
Tom's 100th Birthday Walk for the NHS
「トムの100歳記念バースデーウォーク、NHSのために」です。
目標金額は1000ポンド、日本円にすると約13万円です。
しかし、彼が歩行器を押しながら歩く姿はたちまち評判となり、やがてマスコミに大きく取り上げられるように・・・。
取材に
"It's all for the sake of the nurses and the NHS we have, because they are doing such a magnificent job," he said at the time.
"Every penny that we get, they deserve every one of it."
「すべては看護師さんたち、NHSのためです、なぜなら彼らはそれに値する素晴らしい仕事をしているのです」
と答えたキャプテン。
「暗闇の中で恐れないでください、嵐の後には必ず素敵に輝く黄金の空が現れます」
「明日はきっといい日になります」
「どんなにつらい日があっても、楽観的でいることです」
常に人々に希望を与える言葉を伝え続けました。
寄付金はあっという間に目標額を達成、すぐに目標金額は引き上げられました。
When we started off with this exercise we didn't anticipate we'd get anything near that sort of money.
It's really amazing.
All of them, from top to bottom, in the National Health Service, they deserve everything that we can possibly put in their place.
They're all so brave.
Because every morning or every night they're putting themselves into harm's way,
and I think you've got to give them full marks for that effort.
We're a little bit like having a war at the moment.
But the doctors and the nurses, they're all on the front line, and all of us behind,
we've got to supply them and keep them going with everything that they need,
so that they can do their jobs even better than they're doing now.
「この運動を始めた時は、これほど多くのお金集められるとは思ってもいませんでした。
本当に驚くべきことです。
本当にすべての国民保健サービスの皆さんは、私たちが彼らの代わりにしうることをする価値があります。
彼らは皆、とても勇敢です。
毎朝、毎晩、危険な状況に身を置いているのですから。
その努力は絶賛されなければならないと思います。
私たちはいま戦時下にいるようなものです。
しかし、医師や看護師、みんな最前線にいますが、私たちは後ろにいます。
彼らに必要なものをすべて供給して、彼らが今以上に良い仕事ができるようにしなければなりません。」
キャプテンは、第二次世界大戦の時には陸軍将校でした。
彼にはこのコロナ禍のなか医療の最前線で働く人々の姿が、過去の戦時下での人々と重なって見えたのでしょう。
4月末の彼のお誕生日の真夜中に基金は締め切られ、
世界中から150万人、40億円を超える寄付が集まりました。
彼の功績は多額の寄付金を集めたことだけではありません。
ただ黙々と自宅の庭を25メートル歩き続ける姿は、多くの困難を抱える人々の勇気になりました。
10歳で脳卒中を起こした少女はルームランナーでリハビリをはじめ
104歳のおばあさんは、自宅近くでフルマラソンの距離を完歩
自閉症で失語症の少年も、NHSのために歩く、という挑戦を始めました。
7月には、ウインザー城で、エリザベス女王から、ナイトの称号を得ました、「女王陛下と何を話したんですか?」と聞く取材陣に「エリザベス女王が何をおっしゃったか、誰にも言うつもりはありません。女王と私の2人きりの話です」とはぐらかしました。そんなちょっとおちゃめな面もあったキャプテン・サー・トーマス。
大みそか、除夜の鐘ならぬビッグ・ベンのかねとともにうちあがる花火の中には、キャプテン・トムの歩行器を押す姿を模した光が新年の夜空を照らしました。
4分30秒あたりが、Thanks Captain Tom.
2月3日、彼の死が報じられました。新型コロナウイルス感染による肺炎。年齢100歳でした。
彼は、第二次世界大戦で陸軍将校でしたが、
100歳を迎え、コロナとの戦いの中で人々にとっての英雄となりました。
世界が彼を本当に必要としていた時に、現れてくれた希望の光でした。
彼が何か、誰もがまったく思いつけないとんでもなく素晴らしい言葉を発したとか
誰にもまねできないものすごいことをしたとか、そんなことではありません。
彼はただ、医療スタッフは素晴らしい仕事をしている、私たちは彼らを支えなければならない、という、みなが思うとてもまっとうなことを言葉にし、自宅の庭をただ歩く、ということをしました。
そして、ただポジティブな姿勢を見せてくれました。
それが、世界中の人々の心を動かし、勇気を与え、希望を与えたのです。
ひとはいつでも、だれでも、何歳になっても、人々の心に希望をともすことができる。
そう教えてくれた、素敵なおじいちゃんでした。
ありがとう
Thank you Tom, as you said, 'Tomorrow will be a good day'.
posted by 加純
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