クラスターそしてエピセンター?

「クラスター」が"cluster" で、ブドウのひと房にブドウの実がみっちりついていたり、アジサイの花が一つの茎からみっちりこんもり咲いていたり、と、一か所に同じものがみしっとギューギューにくっついているときに使います。

ということを、以前のブログに書きました。

この新型コロナウイルス騒ぎがはじまってから、日々いろんな新しいカタカナ言葉がメディアからあふれてくるわけですが、最近チラチラと耳にするようになった言葉に「エピセンター」があります。

なにそれ?と思いつつ、たぶん、そこに感染者がたくさんいるんだろう・・ということは想像できますよね。え?じゃぁ、それってクラスターとどう違うの?という疑問がわきますよね。

 

「エピセンター」、それは「〇〇(地名)が新型コロナウイルスのエピセンター化するのではないか」のような使われ方をする言葉ですが、元になった英語は"epicenter"です。

"epi"(ギリシャ語で「上」)とcenter(センター「中央」)が合わさった言葉で、地震などの「震源地」です。地震の際に地面の中に震源があって、震源の真上の地表が震源地(震央)ですよね。

ということで、地震のように中心地があって、その周囲に影響がどんどん広がってゆくもの、その中心地が「エピセンター」"epicenter"。

なので、〇〇(地名)に感染者がたくさんいて、その周囲に感染が広まっていくことを、「〇〇がエピセンターになる」と表現しています。

地震とか感染症とか、なんだか悪いイメージばかり先行してしまうかもしれませんが、別に広まっていく影響は悪いことである必要ではなくて、「原宿は若者ファッションのエピセンターだ」という使い方もできます。

「アイキャリアビジョンがめっちゃがんばって、行橋を"自分のキャリアを主体的に考える"ムーブメントのエピセンターにしよう!」なーんて使い方もできるわけです(笑)

 

「クラスター」と「エピセンター」どっちも感染者がたくさんという事象は同じですが、言葉の使い方が違うことを何となく理解していただけたら嬉しいです。

 そもそも「なんであれもこれもカタカナやねん!わかりにくいわ!」というご感想をお持ちの方も多いと思います。ですよね、私も最近、英語由来のカタカナ言葉が一気に増えたなーと感じます。

テレビの中でしゃべってる人たちは別に、カッコつけてわざわざカタカナ言葉を使っている、というわけではないと思うんです。注意してみていると、テレビ番組に学者さんたちが招かれて、このウイルス騒ぎの解説をしているときに学者さんたちの口からこれらのカタカナ言葉が出てくる、それをキャスターの人が「それってなんですか?」と尋ねる、そしてアシスタントの人がフィリップを取り出して語句の説明をする、なんてシーンが今年の春以降何度もみられました。

 

学者さんたちって、日ごろは学問の研究をしているわけですが、研究に使う論文は世界共通語である英語なんですよね。毎日毎日あの方たちは英語で書かれた論文を読んで、そしてご自分の研究結果も、英語でプレゼンする、英語で論文発表する、ということをしないといけないんです。日本人の学者さんたち同士で話す時だって日本語で話しあっていても、専門的な内容の単語だけは、わざわざ日本語に置き換えるのではなく、英語のままのほうが楽なんだと思うんです。

 

学者さんたちだけではありません。日本のビジネスの最先端を行く!みたいな人たちは、カタカナ言葉を多く使います。それも別にかっこつけてるわけではなくて・・中にはカッコつけてエラそうなスタイルとってるだけの人もいるかもしれませんが(笑)、まぁ多くは、日本において日々グローバルなビジネスに遅れないように、アンテナを張り巡らせ、打倒GAFA!(Google,  Apple,  Facebook,  Amazon)たいな、高い意識で常にグローバルな情報に触れているうちに、話す中身が自然と英語由来のカタカナ語になってしまう、ということなんだと思います。

 

 

世の中に若者だけがよく使う若者言葉というものがあったり、JCJK流行語(女子中学高校生生言葉)のように、オジサンたちには意味不明の言葉があっても、別に若者たちは無理やり若者ぶってその言葉を使っているのではなく、そのような世界に毎日いるので自然とそうなった、ということと根本は同じなのではないかと思います。

 

春先にこの騒ぎが始まって、毎日毎日耳慣れないカタカナ言葉がテレビにあふれるようになって、最初にTwitterで「日本語で言えることをわざわざカタカナで言う必要があるのか」と苦言を呈したのは、元外務大臣で現防衛大臣の河野さんでした。

学者ではない、わかりやすい言葉遣いが求められる政治家だからこその発言だったかもしれませんが、もう一点、河野さんが日本の政治界において大きく群を抜く高い英語力をお持ちである、ということは少なからず影響していると思います。ご自身はお話しするときに、先に英単語が頭に浮かぶようなときでも、あえてわかりやすい日本語に置き換えて話してらっしゃるんだろうな、ということをこのTwitterを見て思いました。

そして、世間から「自分が英語わからないからってひがむんじゃない!!」なーんてイジワルな突っ込みを、間違っても入れられる心配がないからこそ、堂々とこのことをおっしゃることができたんだろうな、と思いました(笑)

 

posted by 英語担当 加純

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