いきなりですが
日本語を学んでいる外国の方に、
「海 は あおい」と
「海 が あおい」とでは
どう違うのですか?ときかれて、すぐ答えることが出来ますか?
そんなの、どっちでもかわらないよ、と思ったりしませんか?
たしかに、「海は」も「海が」も主語なので、大きな違いはないように思えます。
でも、これはどうですか?
「むかしむかし、あるところに、おじいさんは 住んでいました」
・・・
いやいや、この場合は
「むかしむかし、あるところに、おじいさんが 住んでいました」
やろ、と思いません?
いきなり「むかしむかし、あるところに、おじいさんは」と言われると、「ん?どのおじいさんの話だろう?」って思いますよね。
日本語の「~は」と「~が」の使い分けはどうやらなかなか複雑で、でも私たち日本人はそれを無意識に使い分けているようです。
その使い分け方の説明として、
たとえば、基本的には規則があって、
形容詞文(海は青い)だと「は」を使い、動詞文(おじいさんがいる)だと「が」を使う、ただし、時々入れ替わることがあり、その場合、主語以外のものを排除する働きがある・・・さらに例外が云々・・という大変複雑な文法説明があるようです。文法と言うのは、どの国の言葉を学ぶにも避けては通れないのに、なかなか複雑で覚えてるのが大変そうですよね。
でも、規則で説明する方法の他に、ニュアンスや気持ち、雰囲気でとらえることもできると思います。
「海が青い」と言われると、目の前に青い海があり、その青さが心に迫ってくる気がするし、
「海は青い」と言われると、一歩引いて、一般的事実として「海=青い」と言っている気がしませんか?
「おじいさんがいました」と聞くと、登場人物としてポンと目の前におじいさんが出現してくる気がするし
「おじいさんは」ときくと、そのおじいさんの説明なんだな、という、一歩引いた客観的ニュアンスが生まれます。
助詞の選び方ひとつで、その言葉が私たちの心に届くときに、大きな違いが生まれますね。
英語の文法も同じで、2種類のアプローチ方があります。
ひとつは、規則として、数学の公式に当てはめるように説明する方法と
もうひとつは、ニュアンスや心情、印象に注目して説明する方法。
はるか昔、私が学生だったときは、英語の文法は難しい用語を使って数学の公式に当てはめていく感じで習いました。
当時それがとっても苦手だった(というか理解できなかった)わたしは、英語文法音痴のまま大人になってしまったわけですが、
近年、英文法の説明に、「認知言語学」を英語教育に応用する手法が徐々に広まってきています。
この説明もまた複雑で大変なのですが、ものすごーくざっくりと言うと、
英文法を、認知する(心で感じる)ことによって身につける、という方法です。
「形容詞文の場合は "は"、動詞文の場合は "が"」という説明ではなく
「冷静に一歩引いた感じが"は"、目の前にポンと現れる感じが”が”」という覚え方、というか、感じ方。
この手法が、しっくりくる人と、そうでない人、両方いると思います。
感じろ!とか言われてもよくわからない、公式に当てはめる方が楽、という方は、もちろん従来の文法説明のほうがきれいに整理整頓されていてわかりやすいかもしれません。
でも、私のように、「言葉」を数式のように扱うことになじめなかった人は、もしかしたらこの「心で感じる文法」のほうがあっているのかもしれません。
大人になってからのやり直し英語組だった私が、この「心で感じる」英文法に出会った時の衝撃は、
モノクロ無声映画をみていたら、いきなりフルカラーのデジタル3Dになった!!レベルの驚きでした。
それまで外人さんの話す英語が無味乾燥な記号の羅列でしかなかったものが、いきなり同じ心、気持ち、感情をもつ「人の言葉」として飛び込んできた気がしました。
アイキャリアビジョンでの英語講座には、この「心で感じる」英語を多く取り入れていこうとしています。
もちろん、従来の規則として学ぶ方が楽な生徒さんには、従来通りのご説明もできます。なんなら、両方やってみて、しっくりくる方をその都度その都度選んでいけばいいのだと思っています。
「ことば」と「こころ」は深く深くかかわっているので
「ことば」を「こころ」を通して理解していくのは、とても理にかなっているように思います。
posted by 英語担当講師 加純
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